ナイフに関するしくじり:その3

何もしないのにナイフが錆びた話は以前書いたが
今回は「やらかして」錆びさせた話とその後日談。

1980年代の終わりごろ、福岡のデパート岩田屋で生涯最初のナイフを買った。
台所用刃物やアーミーナイフに混ざって一本だけあった場違いなシースナイフで
刃の長さは10センチくらい。グリップは鹿の角っぽい。
なんというか、素人が想像する”西洋の狩猟用ナイフ”そのものだった。
値段は5000円。創刊したてのナイフマガジンで読みかじった品と比べてなんと安い。
 ※ 当時のナイフ業界(特にカスタム)は世間同様バブルに足を突っ込んだところです。

せっかく買ったナイフは、しかし菓子の袋を開けるくらいにしか使わなかった。
当時住んでいた下宿はまかない付きだったし、学生生活1年目で野外どころではない。
ネットのない時代で手入れの方法はろくに知らず
冒険手帳の「皿の底でこすって切れ味回復」を試しても効果はよくわからず。
(ナイフマガジンに正しいタッチアップや砥ぎ方が掲載されるのはもう少し先)
そもそも本物のナイフの切れ味がどれほどのものかなど、わかっていない。
買ってきた状態でカッターより切れない事にがっかりしたのは覚えている。

さて、数日後。
ふらふらと行った岩田屋のデパ地下で、まだ切り分けてないキムチを見つけた。
キムチなんて、近所のスーパーだと桃屋キムチの素くらいしかない時代。
知識でしか知らなかったそれは本場物っぽくて値段も安かったので勢いもあり買って帰った。
切り分けてないからそのままでは食べにくい。
件のナイフで切って味見。当時の自分には美味しく感じられなかった。

気づいたのは数日後。思いの外、毒々しい模様と色にショックを受けた。
ナイフが真っ赤に錆びていたのだ。
キムチを切った後、他の事に興味が移り
汁を拭かずに放置したのが原因というのは素人でも分かった。
しかしリペアしようにも紙ヤスリやピカールを使う術を当時はまるで知らない。
”金も知識も、所持する必要もないのに不釣り合いなものを購入したバチが当たった”
そんな理屈が頭に浮かんだ途端、手元に置くのが急に怖くなった。
ガムテープで刃の部分を覆い、不燃ごみに出した。

数年後、研ぎやブレードの手入れがそこそこ出来るようになってから
最初のナイフの出来事は無知から来る愚行であったと後悔していた。
いつか、もう一度手に入れて、研いで、手入れをしたい。してやりたい。
だが当時のサバイバルナイフブーム後、色々なジャンルの新作が溢れかえり
岩田屋を始め他の店でも件のナイフを再び目にすることはなかった。

独プーマ社のボーイスカウトである。2015-07-13 20.44.062015-07-13 20.43.40
他社の類似製品が中古市場に出回る中、20年越しでようやく見つけた。2015-07-13 20.43.28
分解してサビを落とし、刃欠けを繕い、研いでみる。2015-07-18 18.56.25
30分後。よく切れる刃がついた。・・・やっと、やっと、やり直せたよ(涙)。

なんとも感慨深い体験をさせてもらったが、次に野外へ行く時に
手持ちのナイフの中からボーイスカウトを選ぶことはない。
ナイフ熱をこじらせた結果、使い勝手のよいのを他に持ってるからだ。
ブレードの長さはともかく、グリップがちょっと短い。
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名前や値段からしても初心者向けのハンティングナイフだったのだろう。

であればこそ。
20年前の初心者に対し、その役割を果たしてくれたと信じている。

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